職場である介護施設の看護スタッフがベルゾムラの添付文書の副作用で「悪夢」があるという話をしていた。
そばにいた僕はもちろんベルゾムラを服用中だったので、「あー、それよくありますね。自分の症状を言葉で表現できない高齢者の方はどう感じていらっしゃいますかねえ。」と問題提起してみた。
僕がいつも服用後に感じるのは自分の体が落ちていく感覚だった。
浮遊感とでも表現したらいいのか、ベルゾムラを飲んでベッドに潜り込んで寝る体制になっていると身体の四肢がむずむずしてそのうち身体がほんの少しだけ浮遊したような感じになって、そのままベッドを通り越して地球の奥の方へ落ちていく感じがするのだ。
その気持ち悪い浮遊感を感じる頃には眠気も生じており、落ちていく感覚とともに眠りにつくのだ。
そのせいか、睡眠中に見る夢があまりいいものではないことが多かった。
というよりも悪夢だけは中途覚醒することもあり、記憶に残っているのかも知れない。
過去のパートナーとの別れ話。
交通事故やケンカの記憶。
自傷行為のフラッシュバック。
おそらく夢を見ている時間は短くとも精神に与えるダメージはボディブローのように効いてくる。
実際の所ベルゾムラで眠るようになってから睡眠の質が改善したとは思えなかった。
それよりも朝起きてからもきついことが多く、薬が身体から抜けるまで動きが緩慢で、まず起きたらトイレに行って、水分を補給しないと、動きづらいのだ。
無理矢理薬で眠らされていた感じで、疲労がとれた気がしない。
そこで僕はドクターと相談して、眠剤を変えた。
今飲んでいるのはベルゾムラの一世代前の「ロゼレム」だ。
浮遊感は収まり、そのおかげか嫌な夢を見ることも激減した。
ただし睡眠導入剤としての効果はベルゾムラよりも弱く、気持ちが高ぶっているのを鎮静して眠りにつく効果は少ないように思える。
だから手持ちのベルゾムラとロゼレムを使い分けながら、眠りにつくようになった。
ロゼレムはメラトニンを補う効果があり、冬の日照時間が短いときに服用すると効果が高いと感じる。
海外ではメラトニンのサプリもあるそうだが、国内でメラトニンを補給しようと思うとこのロゼレムがベストだろう。
また日中外で作業して日に当たる機会があれば、ロゼレムも服用せず、肉体疲労のおかげで眠ることもある。
これまでベンゾジアゼピン系の薬を断薬し、SSRIやSNRIも断薬してきた僕としては、睡眠薬もできる限り飲まないようにしたい。
それでも眠れないときは次の仕事に支障が出るので、ロゼレムで眠れそうにないときはベルゾムラを半分に割って飲んでいる。
ベルゾムラには15mgと20mgという中途半端なミリ数になっているので、15mgを半分にすることが多い。
以前ドクターに聞いた話では、認知症の患者さん向けなので、10と20ではなく、15と20みたいな設定になっているそうだ。
職場の話に戻るが、ご高齢の方が夜眠れなくなるのをベルゾムラで防ぐのは、きっとご本人にとって辛いのではないかと思う。
言葉にすることは難しいが、副作用だと分からずに認知症の症状とベルゾムラの副作用がご本人を苦しめている可能性を感じている。
農福連携でリハビリ農園の整備などに補助金があるのであれば、日中は植物に触れたり外で過ごせるような仕組みを整備すべきだろう。
少しでも個人の尊厳をと考えるのであれば、薬に頼らない介護方法を確立する必要があるだろう。
看護スタッフにベルゾムラのことを話した際に「でも先生から処方されているから・・・」という言葉を聞いたとき、高齢者が訴えを伝える手段を失った段階では薬を飲むか飲まないかの選択の余地が全くないのだと分かった。
自分がケアされる立場になったとき、ドクターから指示された薬を必ず飲まされると思うと恐ろしい。
本題から逸れてしまったが、ベルゾムラの副作用のせいで精神的に不安定になることが多々あるので、ベルゾムラを処方されても眠りの質がよくないと感じた場合は主治医と相談して、別の睡眠導入剤を試してみることをお勧めする。
僕はベルゾムラをメインの睡眠導入剤から外してからの方が安定している。
ただそれぞれの病名によって使える睡眠導入剤に制限があるので、どの薬でも出してもらえるとは限らないため、薬を変えるときは主治医や薬剤師としっかり相談して、副作用が出た場合にも備えた上で、チャレンジした方がいいだろう。
そして仕事に支障が出ることが予想されるので、週末や長期休暇など翌日の仕事に影響が少ない日から始めるとうまくいくことが多い。
ベルゾムラを飲んでいても不安定で困っている人が周りにいたら、副作用に悪夢があることを伝えて欲しい。
なんでこの薬がもてはやされているのか私には理解できないが、辛いと思ったらこの薬は変えることができるよ。