地震とアスペルガー

大人になって診断が確定したAS当事者の復興の記録

発達障害と熊本地震その1

今日のニュースで災害時の発達障害者の生き辛さが取り上げられていましたが、知的障害の方なども大変な思いをなさっておいでと思います。

 

どうしても唐揚げかアイスなどのコンビニ商品を食べたい息子さんを連れたお父さんを見かけました。
息子さんは地震の影響で商品が買えないことが理解できないようで、大きな声を上げてお父さんの静止を振り切ろうとしていました。
避難所では大声を出すからとか、列に順番に並んで待てないという発達障害ならではの行動のせいで、配給物資をもらうことができない方々が多々いらっしゃったようです。
身体の欠損など見た目で分かる方への配慮はありますが、内部や精神・知的・発達障害者への理解は充分ではなく、福祉避難所の数もスタッフも少なく、認知度事態が低いので、うまく機能していないようです。

子どもたちも避難所では泣いたり、大声を上げたりするので、結構迷惑がられます。
最初のうちはみんな心の余裕がまだあるので、お互いを思いやることもできるのですが、避難が長期化するにつれて、誰もが疲れてきて余裕がなくなってきます。私もつい大声で怒ってしまったりしてしまいました。
もともと穏やかそうな人が列に並ばずに横から割り込んできたりして、トラブルになりました。
私もたまたま焼きたてパンの列に並んでいたら、甘い砂糖がかかったパンが並んだ途端、高齢のおじさんが列の横から手を出して最後の一個を握りしめました。
災害の初期段階は救援物資が充分に届かず、各家庭に保存食の備蓄があればいいのですが、甘いものなどが不足しがちです。
スナック菓子などは家にあることが多いですが、普段食べない方はチョコレートの買い置きはないのではないでしょうか?
精神科医と怒りを鎮める方法について話したら、「ストレスを感じた時は、甘いチョコレートを一欠片食べるといいですよ」と言われ、私は家に常備しています。
チョコを口の中で溶かして、気持ちを甘みとカカオの香りに集中させることで、幾分か怒りが和らぐのは本当です。あとはストレスの原因から遠ざかるのも大事だと思います。

今回の地震では多くの家屋が全壊・半壊し、最低限度の生活を余儀なくされている方々が多数いらっしゃいます。電気の利用も限られた状況で、携帯ゲーム機やスマホのゲームも争奪戦になり、兄弟など子ども同士で小競り合いをしている場面を見かけます。
こういう時は家に眠っているボードゲームなどを持ち寄るのもいいかもしれませんね。
雨の日には場所を取らないカードゲーム等。
でも子どもにとっての一番はスキンシップだと思います。
大好きな人とハグしたり、手を繋いでお散歩したり、一緒に歌を歌ったり、電気のない夜には星を眺めるのもいいかもしれません。
車も汽車も通らなくなった静かな阿蘇で、耳を澄ませば季節の鳥の歌声が聞こえてきたり、カエルの鳴き声に田植えの時期の訪れを感じたり。
きっとキャンプに行かなくても、自然を感じることができるでしょう。
自然の怖さを思い知らされましたが、自然の良さもたくさん見つけることができます。
感覚過敏の私にとって、緊急車両のサイレンの音やヘリのローター音には辟易しますが、少しでも気持ちをポジティブに持って行かなくては、薬を飲んでいても折れそうになるので、いいこと探しをしています。家族とも否定したり怒ったりするのではなく、少しでもアゲアゲで行こうと約束をしました。相手のどんな些細な事でもほめようという作戦です。
おかげで少なくともギスギスしていた雰囲気は多少和らいだと思います。

そして支援をする側としては発達障害者が安心して暮らせるよう、パーソナルスペースが確保できる避難所を設置する必要があるでしょう。最低でも紙管と紙を使った間仕切りやダンボールのパーティションは女性や乳幼児にも有効ですね。

発達障害をお持ちのお子さんの家庭では災害時にどうするかをよく考える機会かもしれません。
そして発達障害者のご家族の方々は、障害への正しい理解や普及啓発をこれまで以上にがんばらないといけない時期ではないでしょうか。